[翻訳抜粋]How Decision Intelligence Connects Data, Actions, and Outcomes for a Better World
原文
How Decision Intelligence Connects Data, Actions, and Outcomes for a Better World
Lorien Pratt氏(2019/9/16)
https://www.amazon.co.jp/Link-Decision-Intelligence-Connects-Outcomes/dp/1787696545
※ Chapter1, 2のみを対象に抜粋翻訳
Chapter1
GETTING SERIOUS ABOUT DECISIONS
DECISIONSについて真剣に考える
- decisionとは、行動(action)を導き、その結果、成果(outcome)を導く思考プロセス(頭の中で物事について判断するだけではない)。これが複雑なあらゆる問題解決の積み木である
- decision intelligence(DI)とは、decisionを通して人間とコンピュータがいかに行動と成果をつなげるかに関する専門領域
- NASAはDIを接近する小惑星を逸らすために使用、Googleのchief decision officer Cassie KozyrkovはDIを使って数千人のエンジニアを教育、SAP, Element Data, Prowlerなどの企業等にDIのエコシステムが拡大している
- DIによってもたらされるSolution Renaissance:複数の学問領域を統一する
- DIにおける著者のコアアプローチはcausal decision diagram(CDD)
Chapter2
Breaking through the complexity ceiling
複雑さの天井を突破する
- DIの部品に新規なものはない。その接合材が新規である
- CDDは技術と人間を結びつける足場
- どんな分野でも、フィードバックループがdecisionに与えるインパクトが大きい。このフィードバックループをうまく回すことで、winner-takes-allの原理が働く
- フィードバックループの中のソフト要因(明確に計測しにくいもの)がビジネスの成功に対し影響が支配的であるが、システム的に無視されがち
- ソフト要因が含まれるフィードバックループは目に見えないが、一般的に最も大きな成長のドライブ要因であることが多い
- CDDの構成要素
①decision levers:意思決定のレバー。大学はハーバードにするかダートマスにするか。携帯電話の新機能開発に投資するかコスト削減に注力するか、新プロダクトをリリースするか否か、など。
②Outcomes:定量的な評価基準。そのdecisionにより成功したか否かを判定するために計測するもの。”年収”、”大学でのストレス度合”、”学費”など。
③Goals:Outcomesの目標値。Outcomesがどの値になれば成功と考えるか。”高収入の職を得たい”、”高ストレスな大学は避けたい”、”学費を年間1万ドル以下に抑えたい”など。(※ Proxy goal:代理のゴール。真のゴールの測定が難しい場合、真のゴールに対応した、測定可能な代理のOutcomeに対する目標値を立てることもある。しかし、proxy goalが代理であったことを忘れ、そのまま真のゴールになってしまうことに注意せよ) - ④Externals:外部の状況。"私は銀行に5,000ドルしかない”、”私の生活費を全て賄えるローンプログラムがある”、”ハーバードはとてもストレスフルだと聞いた”など。
⑤Cause-and-effect links:原因と結果のリンク。
[ポジティブな内容の場合]
もし私がハーバードに行けば、私はたくさんの友達ができるだろう。たくさんの友達を持つことは大学のストレスを軽減するだろう。ハーバードはウォールストリートで評判が良い。アイビーリーグの大学に行くことはウォールストリートで評判が良いので良い職につながるだろう。
[ネガティブな内容の場合]
ハーバードはとてもお金がかかる。大学がお金がかかると私はあまりの借金に落胆するだろう。多くの借金は卒業後私を不幸にするだろう。
⑥Intermediates:中間要素。decision leversとoutcomeの間の要素。
⑦An archetype:無意識化、暗黙のうちに存在している、組織の文化として伝承されてきている思考のパターン。意思決定を行う際に利用される。 - CDDのアーキタイプ(Decision archetype)
- CDDとは、archetypeの要素を著者が表出化したもの
- CDDのリンク部分に、機械学習、他の統計モデルが入り込む
- MLモデルは何かしらの情報を入力し、出力するもの
例:コンピュータシステムの情報を入力し、ウィルス侵害の確率を0-100の数値で返す仕組み - CDD内にMLモデルを組み込んで表現することは、意思決定や行動の方法に関して合意を取るうえで有効
- MLリンク部分の関係性は明白でなくとも、チームが状況を理解し、どこのMLリンクに関するデータを整備することの重要性が高いかを把握することができる
- データが無くとも、定性的な分析や、定量的な計算式でMLリンクを代替することができる(永続的であれ、一時的であれ)
- 各リンクの影響度を理解するためにデータの取得が必要だが、継続的にアダプティブラーニングを行うことで意思決定モデルを改良していけばよい
- DIのマジックサイクルというのがある。これはデータなしのCCDを描き、時間をかけてデータを得て、どんどんCCDを強力にしていくというもの
- データ管理はコストがかかる。そのため、まずCCDで優先度の高いデータの個所を特定したうえで取り組むことで価値を得るまでの時間を短縮し、リスクを小さくできる
- 機械学習を含むCDDの例:機械学習によるシステムの不正侵入の検知