[翻訳]アナリティクスの性質 Part2/2 ~優れたアナリストとは~
要点抜粋
- アナリティクスはどれだけ早くインスピレーションにたどり着けるかのゲーム。そのため優れたアナリストとは、意思決定者に最速でインスピレーションを与える人
- 具体的には、以下6つのスピードにおいて速く実施できることが求められる
①有用で関係のあるデータを取得するまでのスピード(ドメイン知識)
②データを加工処理するスピード(ソフトウェアスキル)
③データを集計するスピード(数学的スキル)
④集計データを自分で理解するまでのスピード(データ可視化スキル)
⑤データを関係者に理解させるまでのスピード(コミュニケーションスキル)
⑥意思決定者をインスパイアするまでのスピード(ビジネス感覚) - しかし、時間あたりインスピレーション数が少ないからと言って、アナリストを責めてはいけない。それはデータに大きく依存するからである
原文
Cassie Kozyrkov氏の記事(2020/8/15)より
いきなり優れたアナリティクスの性質に行く前に、パート1(翻訳版)も紹介した3つの一般的なアナリティクスの誤解についてみてみましょう。
- アナリティクスは統計ではない
- アナリティクスはデータジャーナリズム/マーケティング/ストーリーテリングではない
- アナリティクスは意思決定ではない
誤解1:アナリティクス vs 統計
使用するツールや数式は似ていますが、アナリストと統計専門家は全く異なる仕事をするようにトレーニングされています。
- アナリティクスはあなたの問いの質を高め、仮説を構築するのを助けます
- 統計はあなたの答えの質を高め、仮説を検証するのを助けます
もし詳しくこれらの専門性について知りたいなら、こちらの記事を参照ください。
”Can analysts and statisticians get along"
誤解2:アナリティクス vs ジャーナリズム/マーケティング
アナリティクスはマーケティングではない。違いはアナリティクスは意思決定者の視点を広げるのに対し、マーケティングは狭める。
同様に、データジャーナリズムは多くの人の関心を小さく捉えることであるのに対し、アナリティクスは一部の人のニーズに対し大きくサービス提供すること。アナリストは何よりもまず意思決定者にサービスを提供します。
誤解3:アナリティクス vs 意思決定
私があなたのアナリストである場合、私はあなたに代わって選択をするためにいるわけではありません(仮に私の方がドメイン知識を多く持っていたとしても)。もしそれが望まれるのなら、あなたは私を意思決定者に昇格させる必要があります。
もし誰かにアナリストと意思決定者のハイブリッドとして働かせたいのなら、2つの役割を1つにまとめて求めているということを理解し、その責任を明示的に割り当てるようにしてください。
誤解2、3についてより詳細には、パート1(翻訳版)に詳しく記述しています。
優れたアナリストとは
"Data Science’s Most Misunderstood Hero"の記事の中に、データサイエンスの3本柱それぞれの卓越性について書きました。アナリストの卓越性はスピードです。
アナリストは意思決定者と自身の時間をできるだけ無駄にしないようにしながら、事実を調査し、あなたのインスピレーションを引き出します。インスピレーションを得るまでの時間を最大限効率化するためには、さまざまなスピードをマスターする必要があります。具体的には、
- 有用で関係のあるデータを取得するまでのスピード(ドメイン知識)
- データを加工処理するスピード(ソフトウェアスキル)
- データを集計するスピード(数学的スキル)
- 集計データを自分で理解するまでのスピード(データ可視化スキル)
- データを関係者に理解させるまでのスピード(コミュニケーションスキル)
- 意思決定者をインスパイアするまでのスピード(ビジネス感覚)
最後のポイントは微妙なニュアンスがあり、かつ最も重要なポイントでもあるので、詳しく説明します。
美しく視覚化され、効果的に伝えられたトリビアは、時間の無駄です。誤解していることのエキサイティングな発見も時間の無駄です。ゴミデータに細心の注意を払うことも時間の無駄です。無関係は小話も時間の無駄です。
アナリストが持ってくる、あなた(意思決定者)が時間を使う価値がないと思うものは全て、時間の無駄です。
アナリティクスは、分あたりインスピレーション数を最大化するゲームです
アナリストはあなたの時間を無駄にするでしょう(そしてそれは探索の一部です)。ですから、アナリティクスはそれをできるだけ小さくするゲームです。言い換えれば、時間あたりインスピレーション数を最大化するゲームです。(時間は意思決定者とアナリスト双方の時間を指し、それぞれの時間の価値に応じた換算レートに従います。)
拙速な解釈に騙されないでください。光り輝くナンセンスな”洞察”に陥り続ける間抜けなアナリストは、長期的に見ると全体の進みを遅くしてしまいます。
アナリストのパフォーマンスを評価する
パフォーマンスアセスメントが好きな人は特に、アナリストは時間当たりインスピレーション数で評価できないということに注意してください。
それは、抽出できるインスピレーションの量(意思決定者によって主観的に定義される)がデータセット毎に異なるためです。しかし、既に中身をよく知っているベンチマークデータセットを用いることで、彼らのスキル(業務遂行力ではない)を評価することはできます。
アナロジーとして、2人のアナリストに外国語の教科書からインスピレーションを引き出すように依頼した場合、その良い(より早い)アナリストは、その言語のネイティブスピーカーである可能性があります。あなたがその言語で書いた文章を彼らが理解する速度を測ることで、彼らの相対的なスキルを測ることができます。
スキルは業務インパクトを保証しません。それはデータに因るからです。
あなたがスキルを評価したとしても、それは業務インパクトを与えられることを保証しないということを忘れないでください。それはデータに因ります。先ほどの例に戻ると、もしあなたが開いたことのない怪しげな教科書をアナリストに与えたならどうでしょう?怪しげな教科書はゴミ情報でいっぱいである可能性があるため、彼の時間当たりインスピレーション数に責任を負わせることができないでしょう。
教科書とデータセットは非常に良いアナロジーになっています。追加で知っておくべき事項は次の通りです。
- ある意思決定者にとってのゴミは、別の意思決定者にとって宝。教科書のように、データセットはあなたが学びたいトピックをカバーしている場合のみ役に立ちます。
- もし人間の著者がいる場合、それは主観的です。教科書のように、データセットには人間の作者がおり、その偏見が内容に影響を与えている可能性があります。
データに含まれない事柄に関して、アナリストを責めないでください
意思決定者は、アナリストを進化したばかりの新しい感覚器官、つまり、今まで見えなかったものを見ることができる新しい種類の目だと考えて下さい。
見る価値のないものにその新しい目を向けても、何も得るものは無いでしょう?
データから何も価値のあるものが得られなかったとしても、アナリストを責めないでください。彼らを持っておくことは、新しいものを見ることができるようになるための投資です。彼らをより可能性のあるデータに向けて下さい。
より深く、アナリストの卓越性について知りたいならば、こちらの記事に進んでください。