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[翻訳] Googleでのアナリティクス:データドリブンな意思決定の事例

原文

www.smartdatacollective.com

イントロ

Googleは、ファクトに基づく意思決定がDNAであり、Googler(Googleの従業員)は彼らの文化の一部としてlanguage of dataを話します。Googleでは全ての意思決定がデータ、アナリティクス、そして科学的実験に基づきなされることを目指しています。

Googleについて

Googleは多国籍のインターネットとソフトウェアの会社であり、インターネット検索、クラウドコンピューティング、広告を得意としたカリフォルニアマウンテンビューに本社を置く会社です。Googleのミッションは世界の情報をオーガナイズし、ユニバーサルにアクセス可能で便利にすることです。そしてこのミッションにより、彼らは非常に真剣に意思決定に向けて情報を提示することに取り組んでいます。

意思決定に向けた情報のためのデータ

企業においてデータは最も重要な問いに答えるために収集されるべきであり、あなたが答えるべき問いが明確でない限り、データは全く無用なものです(より詳しくは私のKey Performance Questionに関する記事を読んでください)。今日、Googleではまず問いから始めて、最初に必要な情報について非常にクリアにすることを目指します。CEOのEric Schmidtは言います。「我々は問いで会社を動かしている、答えではなく。したがって戦略プロセスにおいて、我々は自分たちが答えるべき30の問いを定義した。(中略)それを問いとして尋ねます、くだらない答えとしてではなく。それにより刺激され会話が生まれます。会話からイノベーションが生まれます。イノベーションはある日起きたら”イノベーションを起こしたい”と思い立つようなものではありません。問いとして尋ねることでイノベーションの文化が出来上がってくるものだと思います。」Googleがこの考え方を適用したたくさんの素晴らしい事例がありますが、人事部門の良い事例を見てみましょう。

Googleでのファクトベース意思決定

グローバルのHRファンクションにて、人事に関する意思決定をデータに基づき判断することを支援するPeople Analytics Departmentを設立しました。Googleが答えを出したかった1つの問いは、「マネージャーは実際に重要か?」ということでした。これはGoogleが最初から取り組んできた問いであり、創設者はマネージャーの貢献に疑問を投げかけていました。ある時には、すべてのマネージャーを廃止し、全員を個別の貢献者と位置付けましたが、あまりうまくいかずマネージャーは元に戻されたことがありました。

Project Oxygen

People analytics departmentの中でGoogleはinformation Labという、社会科学の研究者で構成されるグループを作り、グーグルの組織の実践を変革するような革新的な研究(問い)を中長期的に取り組む組織を立ち上げました。このチームはProject Oxygenというコードネームで呼ばれる「マネージャーは重要か」という問いに答えるためのプロジェクトに取り組みました。そして目的と必要な情報は明確に定義されました。

どんなデータを使うか?

チームはまず既存のデータに目を向けました。それは(マネージャーに対する上司からの)パフォーマンスレビューと、(メンバーからのレビューである)エンプロイーサーベイでした。チームはこのデータをグラフにプロットすることで、マネージャーは全般的には良いと認識されているということを明らかにしました。データは十分なばらつきを示していなかったので、チームはデータを上位/下位の四分位範囲に分割しました。

分析

回帰分析を行うことで、チームは、チーム生産性、従業員の幸福度、および従業員の離職率に関して、これら2つのグループの間に大きな違いを示すことができました。簡単に言えば、良いマネージャーの元のチームはパフォーマンスが高く、幸福度が高く、離職率が高かったのです。この結果は良いマネージャーは実際に違いを生むということを明らかにしましたが、そのデータでGoogleがアクションを取れるわけではありませんでした。次の彼らが答えるべき問いは、「Googleにおいて何が良いマネージャーを作るか」ということでした。この問いに答えることはより一層有用な示唆を提供するはずです。

新しいデータの収集

チームは2つの新しいデータの収集を行いました。一つは”Great Managers Award"という、従業員が特に良いマネージャーだと思う人をノミネートするものです。ノミネートの際には従業員は良いマネージャーだと感じる行動の例を提供する必要があります。2つ目のデータは上位/下位の四分位範囲のマネージャーに対する、彼らがどのような行動をとっているかについてのインタビューです(マネージャーはどちらの四分位範囲に自分が入っているかは知りません)。インタビューとGreat Manager Awardからのデータはテキスト分析がなされました。この分析によりチームは8つの良いマネージャーの行動と、3つのうまくいかないマネージャーの行動を明らかにしました。もしあなたがこれらについて知りたいならば8 Behavious that make a Great Manager at Google – and 3 that don’tを読んでください。

示唆を活用する

Googleはこの調査結果を新任マネージャーに対するコミュニケーションを含め、関係する人に対し様々な方法でシェアしました。しかし単に示唆をシェアするだけでは十分ではありませんでした。Googleは示唆を基に行動する必要性を感じていたのです。この分析に基づく多くの具体的な行動がありました。以下はいくつかの重要な例です。

  • Googleはこれらの行動に関して測定を始めました。そのために年2回のフィードバック調査を開始しました
  • GoogleはGreat Manager Awardを継続することを決めました
  • Googleはマネジメントトレーニングを改訂しました

Intelligent Company

Googleは、いかに良い意思決定が良いデータとファクトにサポートされるかの良い事例です。Googleは私が書籍"The Intelligent Company: Five steps to success with Evidence-based Management"の中で書いている5つのステップに明確に従っています。

  1. 目的と必要な情報について定義する
  2. 適切なデータを収集する
  3. データを分析しインサイトに転換する
  4. 情報を展開する
  5. evidence-basedな意思決定を行う