【読了】The Art of Innovation 発想する会社!
今週は「The Art of Innovation 発想する会社! 世界最高のデザインファームIDEOに学ぶイノベーションの技法」という本を読みました。
発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法
- 作者: トム・ケリー,Tom Kelley,ジョナサン・リットマン,Jonathan Littman,鈴木主税,秀岡尚子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2002/07/25
- メディア: 単行本
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この本はアップル社の最初のマウスのデザインなどを手掛けた世界的なデザイン・ファームであるIDEOのゼネラルマネージャー、トム・ケリーが著した、IDEOでどのように革新的な製品デザインが創り出されているかを書いた本です。とても多くの具体例を交えて紹介されていて、その具体例を知るだけでもとても多くのインスピレーションを受けられます。
しかし、「アート」であって「セオリー」ではないので、事細かな手順書のように書かれているわけではありません。しかし、非常に多くの経験則に裏付けられていてその効果が実証されています。
IDEOは主に製品デザインに関するコンサルティングファームですが、「顧客を見ること」だったり、「ホットなグループ」、「プロトタイプ制作」、「スピード」を重視することは全て新事業・サービスの企画とほとんどの点で共通だなと感じます。
特に印象的だった項を一つ紹介します。「イノベーションは見ることから始まる」では、IDEOでは製品をデザインする上で「観察」を重要視しているということが述べられています。彼らはモニター調査やマーケットリサーチにはあまり重きを置きません。顧客企業のマーケティングのエキスパートに話を聞くのではなく、その製品、あるいはこれからつくろうとしている製品に似たものを実際に使っている人のところに行く、というのです。顧客にヒアリングをしていないわけではないかと思いますが、顧客から得られる「上品な(Fine)」答えには情報も価値も無いというのです。
おそらく、人がどういうことに困っていて、どういうことを欲しているかということは、多くの複雑な情報の混合であり言語化して伝えるのは非常に困難であるのだと思います。または顧客自身が気づいていないことも往々にして多いのかもしれません(だからコンサルティングを頼んでいるのでしょう)。だからこそ「見て感じ取る」ことが必要なのだと感じました。
とても興味深い本なので今後何度も読み返して頭に焼き付けたい本だと感じました。