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[翻訳]データサイエンスリーダー:あなたたちは多すぎる

原文

Cassie Kozyrkov氏の記事より(2018年6月1日)

towardsdatascience.com

 

データサイエンスは実際いくつかの問題を抱えています。しかし、まず初めにある一つの問題から見ていきましょう。それはリーダーシップです。

本日、私はデータサイエンス(機械学習、AI、統計、データサマライゼーション、ビジュアライゼーションを含む領域)のリーダーの前で話しています。本日のデータサイエンスチームを率いている輝かしい先駆者たちの顔を見て思うことがあります。それは「あなたたちの数が多すぎる」ということです。

何ということか!データサイエンスの人材不足が酷いのだから、そのリーダーシップにおける人材不足はもっと酷いのではないか、と言うでしょう。

今日におけるデータサイエンスリーダーのほとんどは、私が”transcended data scientist(超越したデータサイエンティスト)"と呼んでいる方々です。科学、工学、または統計学の公式なトレーニングを終えて、奇跡的にある日、自分たちのために数学的な複雑さを追求するよりもデータを有効活用することに興味を持った方々です。

データサイエンスリーダーは、あらゆる可能性に逆らった存在です

データサイエンスのリーダーは、あらゆる可能性に逆らった存在であるため、あなた方の数は多すぎます。あなた方はほぼ何もトレーニングされてこなかったので、あなた方は値するより多く存在してしまっています。どうしてこのような幸運なアクシデントが起きたのでしょう?誰もあなたにあなたがすべきことをどのようにするかを教えてこなかったので、幸運にも存在してしまっています。10年以上数式を勉強した後、どのようにリーダーシップをとるか、どのように良い意思決定をするのかを勉強する予定でしたか?私のSRE(Site Reliability Engineering)の同僚が言うように、「希望は戦略ではありません」。

そこにはあなたよりもっとたくさんありますが、あなたの計画は?

もしあなたが定理が好きならば、定理はこうです:時間は有限です。なのでもしあなたがファインマンやデフィネッティを学ぶために時間を費やしているならば、他のスキルを構築するために多くの時間を費やすべきではありません。私たちはデータサイエンティストに、即座に良いリーダーや意思決定者になることを知ることを期待することはできません。誰がそれを彼らに教えるのですか?一日中分析コードを書いたり定理を証明することでリーダーシップを学ぶことはできません。

替わりに、よいリーダーや意思決定者になるためには、彼らの萎縮した筋肉の弱さを認識する謙虚さと、2番目の技術を習得するための勤勉さが必要なのです。彼らがその難しい事柄を学んでいる間、時に打撲傷を負うこともあるでしょう。確率論がこの宇宙で最もホットなモノであると考え出した人間として、私はこれがどれほど苦痛であるかを知っています。

そこには態度の問題があります。私たちは本当にそのスキルに価値を置いていますか?

もしあなたの経歴が私と似ていたならば、あなたは”数学礼賛の"サブカルチャーの中で育ったかもしれません。そこでは「ソフト」スキルのような臭いがするものに対して軽蔑を示す風潮があります。ある定理を証明したり、第6番目の言語でコーディングしたりして一晩中起きていることにどれだけ熱心であるかに対し胸が高鳴ります。あなたがそのカルチャーにどっぷりはまっているとき、あなたはリーダーシップ(またはコミュニケーション、ビジネスセンス、クリエイティビティ―、共感、などなど)を大切にすべきだと思わないかもしれません。そして、あなたのクラスメートはもしあなたがそのような「ソフト」スキルに走ったらあなたを尊敬すると思いますか?

私はそれらを「ソフト」スキルと呼ばず、「自動化することが最も難しい事柄」と呼びます

解決の糸口はこれらのスキルが生のデータサイエンスのように魅力的なもので、ハードコアであることに疑いのないものであるという風に風潮を変えることです。もし”気取っていること”が若者にとってなくてはならない場合には、少なくとも両方の種類の筋肉が使えることが最高の名誉であることを彼らに納得させましょう。結局のところ、それは事実です。

ハードルは高く、その仕事についている人全員がそれを満たしているわけではありません

データサイエンスのリーダーシップは、単に学期の成績がトップクラスであることのリーダーシップではありません。意思決定やいかに情報が行動をドライブするかについて深い理解を持っているだけでなく、特定のビジネスドメインに効果的に影響を与える方法のニュアンスに鋭敏な嗅覚が必要であり、大規模なデータサイエンスプロジェクトを成功させるために連携する必要のある多様なスキルのエコシステムについても理解が無くてはなりません。そしてそれは、このゲームに参加するための最低限のことです。

これは非常に高いハードルで、データサイエンスチームをリードするすべての人がそれをクリアしているわけではありません。雇用主の皆さん、データチームを率いるための本物の人物を採用しているかどうかをどのように知ればよいのでしょう?もしあなたのデータサイエンスチームがすでに悪いリーダーシップを発揮してしまっていたら?どのようにそれを判別しますか?あなたの頼れるこの役割に対する知恵はほとんどありません。誰に質問すればよいのでしょう?

データサイエンスはバブルか?

今日、世界ではいまだかつてない量のデータが生成されています。しかし、私は時に「データサイエンスはバブルでしょうか」というような質問を受けます。私は信念をもってそれに「絶対に違います」と答えます。真実は、「場合による」です。残念ながら様々な業界の方と会話すると同じ話を聞きます。「我々のデータサイエンティストチームは使えない。彼らは論文を出すことばかりを考えている。」私たちはこのあまりにも一般的な現象を防ぐことができるような有能なリーダーを獲得することができるのでしょうか。もしデータサイエンティストが自分たちが価値があることを証明できなければ、彼らがその仕事に就くことは長くはないでしょう。

新鮮な香りのする科学のPhDがビジネスに有意義に貢献する方法を知っていると期待するのは不公平でしょう。それは長年かけて彼らが学んできたことではないからです。データサイエンスの内容を理解しており、データをビジネスとをつなげる方法を知っている人からの支援がなければ、彼らにとって不利な条件でしょう。データサイエンスがバブルでないことを確かなものにするために、今すぐに特別なリーダーシップが必要です。それはどこからくるのでしょう?

データサイエンスリーダー向けトレーニングプログラムはどこにあるのか?「希望」は「戦略」ではない

皆さん、私たちは幸運であることに感謝しましょう。いくらか良いデータサイエンスリーダーは存在し、スキルはそこにあります。おそらく苦痛を伴って1つずつ獲得されたスキルであり決して効率的に獲得されたものではありませんが、それでも正しいスキルです。私はあなた方が私と同じように緊急性を感じていることを願います。困難な方法で学んだ一部の人間が、よりよい方法で他の人にトレーニングすることを始めなくてはなりません。

私はその一人として自分の役割を果たすことにコミットしています。私はGoogleにて、データサイエンスの実際に問題への適用にフォーカスを当てたチームの一員として効果的にチームリードし働く立場の、新しい種類の「思想家」を育てることに取り組んできました。正しいスキルを構築するため、データサイエンスとエンジニアリングからアイディアを取り入れ、行動科学と経営科学でそれらを強化しました。共通のコアが理解されるまでそれは学際的なものにしか見えません。その共通のコアが「意思決定とそれをドライブする情報」です。それが私たちがDecision intelligenceと呼んでいる理由です(もしあなたが好みなら応用データサイエンス++と呼んでもよいですが)。

新しい種類の「思想家」(=データサイエンスチームを成功に導くスキルを持った意思決定者)を育てよう

私はデータサイエンスはチームスポーツであると常々考えていて、スキルの多様性によって恩恵が得られると考えています。そのため、私はトレーニングプログラムに様々なバックグラウンドの人の参加を奨励しており、実際参加可能にしています。わかってきたことは、優れたデータサイエンスリーダーは必ずしも超越したデータサイエンティストである必要はないということです。

私たちはGoogleの社員の中でこうしたスキルを育成する中で達成したことを誇りに思います。しかしそれだけでは十分でありません。同じスキルを身に着けるために、他のすべての人が「幸運なアクシデント」や複数領域への完全な没頭に取り組む必要なないのです。これを読むことで、データサイエンスの意思決定者の技術を知る人を数人でもインスパイアし、私たちの知恵を広く共有することに参加するきっかけとなることを願っています。